吉原で4万円くらいのソープに行ってきた話 前編

先日、東京都台東区は吉原のソープランドに行ったのでその話を書きます。

フォロワーたちからは「M性感に行ってほしい」とか「秋葉原のコスプレ風俗はいいぞ」などの様々なご要望をいただいていたのですが、
結果としてこのような形になってしまったことを深くお詫び申し上げます。
忘れてはいないので、そのうち達成します。

今回のお風呂屋さん報告の概要は以下となります。

 

場所:吉原
費用:約4万円
時間:100分
嬢の顔面:某三人組女性声優ユニットの某メンバーを2発くらい殴ったような感じ
嬢のスタイル:身長160くらい、Eカップ(HP情報)
特記事項:即即、NN

 

以下、詳報です。

 

社会人2年目、夏の賞与で吉原のソープに行こうと思いました。
初任給で川崎のソープに行ったのなら、賞与で吉原のソープに行くことは当然の義務であると思えたからです。
人間は常により高いところを目指さねばなりませんので。

さて、行くと決まれば早速行動です。
まずは行く店を決めねばなりません。
某風俗情報サイトでエリア:「東京都>吉原」、業態:「ソープランド」と設定し、検索します。
すると、検索結果はおよそ100件ほどありました。世も末です。
これを全部見るのも億劫なので、とりあえず人気ランキング順にソートしてみます。一番売れているものは一番いいものだとハンバーガーメガネも言っていました。
ソート結果を見てみると、概ね以下のようなことがわかりました。
まず、人気が高いのは基本的に60分あたり総額2万円以内でかつ積極的にクーポンを発行している「激安店」に区分される店であること。
この区分がランキング上位に占める割合が一番高いのです。世も末です。
その一方で、公式HPにはもはや総額が何円になるのかをはっきり記載しないような「高級店」もまた一定数がランキングに上っていること。
ちなみに公式から離れた外部のサイトにはこの手の店の総額も載っていますが、特に人気の高級店だと120分6万5千円とか概ねそのくらいはするとのこと。
そして、その間を埋めるはずの「スタンダード店」「大衆店」などと呼ばれる等級があまり無いということ。
つまり、ここで起きていることはソープの二極化。激安と高級品への二極分離、格差の顕在化です。格差社会はこんなところにも現れています。全くもって世も末です。

さて、ここまで来たところでどの店を選ぶべきか考えます。
一つ言えることは、この局面で激安店を選ぶことは無いということです。
その価格帯なら、川崎で十分なのです。ブログには特に書いていませんが、この価格帯の川崎の店にリベンジマッチを挑み見事に勝利した実績もあります。
わざわざホームグラウンドを出るのだから、それ相応の店を選びたいところです。
しかし、射精に6万円を払うのかという躊躇もあります。

射精に6万円は、出せない。
いくら備えるべき未来の無い異常独身男性であるといっても、二年目の労働者はいまだ射精に6万円を払えるステージには達していないのです。
ならば狙うべきはその中間……の気持ちやや上。4万円前後で手を打ちましょう。「飲む打つ買う」で言えば「買う」ですが。
そして嬢の年齢層はやはり若い方が良い。というよりは単に僕に熟女趣味が無いだけですが。


上述した条件で、いくつか良さげな店を抽出することに成功しました。
後はこの中から一つを選ぶ作業です。最後の一つを選ぶ基準はどうするか。
それは口コミです。口コミといっても今回見ていくのはより生の声に近い(気がする)匿名掲示板の書き込みです。
風俗の情報を集めるのに適した掲示板といえば恐らく爆サイが一番なのでしょうが、僕はオタクくんなのであのヤンキー臭いサイトはどうにも好かないのです。
そのため、いつも2chのソープ板で情報を集めています。過疎気味ですが。
ちなみにこの板でも常に勢いトップなのは川崎の激安店です。世情ですね。

2ch情報を諸々漁った結果、無事に一つの店に絞り込むことができました。
情報サイトでの人気ランキングはそこそこ、区分としては一応高級店ですが、その中では比較的安い部類の店です。
具体的には100分で約4万円です。
本来はこれより高い値段だけど今はキャンペーンで4万円……という標示でしたが、それはお得感を醸し出すための広告表現でしょう。
この店を選んだ決め手はNN(生中出し)ができると明言されていたことです。
この時までついぞ忘れていたことですが、どうせ金を払うなら生の方が当然良いに決まっています。人間は生が好きです。
火を通せば、あるいは0.02mmを挟めば安全が保証されると知っていても、それでも人間は生を求めています。
無論、生にはリスクがあります。食べ物なら食当たり、膣なら膣当たり……ではなく性病のリスクです。
しかしそんなことは些末な問題です。日本人は何でも生を好む人種なので。

 

店を選んだらさらにもう一段階の選択があります。
そう、店の次は指名する嬢を選ばなくてはなりません。
4万円を迫真フリー入場ガチャに突っ込むだけの度量はまだ無い貧乏人なので、大人しく追加の指名料を払ってサプチケを買うというわけです。
フリー入場で地雷を引いたら神を呪うしかありませんが、
自分で選んだ嬢が地雷だったらそれは自分の実力もとい運命力が足りなかったのだと潔く諦め、精神衛生を保つことができるというのもあります。

今回の嬢を選ぶ基準は概ね以下の通りです。
まず一つ、予定の日に出勤していること。
今回の入浴は元々、お役所方面的な用事で有給休暇を取る日についでに行く計画なのです。
そのため、可能な限りその指定日かつ午後の時間帯に出勤していることが必要です。
二つ目は巨乳であること。これは完全に僕の趣味です。乳はでかいに越したことはありません。
巨乳とはどれほどのサイズを指すかという議論はこれだけで論文が書ける類のお話でしょうが、
ここでは暫定的に「公式サイトのプロフィールでEカップ以上」と定義しておきます。
現実世界のEカップはアニメの世界でいうCカップくらいの大きさだったりしますが、それは仕方のないことです。
アニメ基準での巨乳を求めると現実世界ではGカップ以上の嬢(SRくらいのレア度はある)を探すか、
デブ専風俗にでも行かなければなりません。ちなみにデブ専風俗はいつか行ってみたいと思っています。
三つ目は顔に関する要件……と行きたいところですが、
風俗店の公式サイトに上がっている嬢の顔写真なんてぶっちゃけどれも同じようにしか見えません。
僕に相貌失認の気があるのか、はたまたフォトショ技術と一般的に好まれる顔面の作りの最頻値分析が成せるものなのかは知りませんが、
顔写真はどれも概ね同じ程度の美人に見えますし、結局は実際に対面してみるまでは何も分からないという確信があります。
ともかくこのような条件で、選んだ店のHPにて予定日の(生理の、ではない)出勤一覧を眺めます。
果たして一人、概ね要件を満たしている嬢を見つけることができました。
当日の昼頃から夜の閉店まで出勤しており、バストはEカップとあります。
この日に出勤している他の嬢はみなCカップ前後で「スレンダー」とかその辺の言葉をキャッチコピーにしているタイプでnotForMeと感じられたため、ここで手を打ちましょう。
身長は160cm台前半だったのもプラスの判断材料でした。
前回に北海道はすすきので入浴したソープでは140cm台の嬢だったため、今度はできれば身長が高めで攻めたいという気持ちもあったのでした。
ちなみに写メ日記とかはあまり見ない派です。snowで加工された写真は嫌いなので。

さて、ここまで決まれば早速予約です。モタモタしていればその間に予約を埋められてしまう危険性があります。
こういう時はADHD特有の即断即決即行動が有利に働く傾向にあります。
メルマガ会員にならないと前日予約ができないというクソ仕様に対していつまで江戸の遊郭みたいなめんどくさいシステムやってんだとブチ切れたり、
予約時に1回・予約前日に1回・予約時間の1時間前に1回の計3回電話しなければならないというメンヘラみたいに電話を強要するシステムにブチ切れたりしつつ、
無事に予約し、決戦当日を迎えることができました。

決戦当日。上野駅に降り立ちます。
そう、吉原というエリアが23区内でありながらどの駅からも若干遠いためなのか、ここのお店は一般に送迎の車を出すというサービスを行っているようです。
その待ち合わせ場所が上野駅イリヤスフィーr、もとい入谷口です。


正確には入谷口の前の某コンビニの前が待ち合わせ場所です。
予約は14時から、送迎の待ち合わせは13時半でしたが、まだ13時になったばかりでした。ADHD特有の時間管理下手糞ムーブです。
ともかく時間が余りました。幸いにしてそのコンビニにはイートインスペースがあったため、そこで時間を潰すことにしました。
実は昼食がまだだったので、適当におにぎりとコーヒー牛乳、それにマカがどうこうと書いてある強壮ドリンクを買ってイートインスペースに着座します。
まだ強壮ドリンクに頼らなければ戦えないような歳ではありませんが、ゲン担ぎというか気分を高めるために買ったようなものです。
ふと隣の席を見ると、コンビニにあるこの手の強壮ドリンクの中でも一番高い(確か1000円くらいする)「凄十」をグビグビと飲んでいるご老人がいました。
きっと、いや間違いなく同士でした。そう、ここは既に戦場でした。
負けじとこちらも強壮ドリンクを飲み干します。
特に何かが高まったりといったただちの影響ははありません。あくまで気分です。

 

何やかんやと時間を潰して約束の13時半まであと数分。迎えの車と合流すべく、店を出ます。
車の車種と色は既に店との電話にて聞き及んでいます。マイルドヤンキーに大人気の某ミニバン、色は黒です。
コンビニの前の路駐が無限に並んでいるエリアで、その車を待ちます。周りにはこれまた同士と思しき男たちが、所在なさげに突っ立っています。
程なくしてそれらしき車がやってきます。路駐の列に入って止めると、運転席からいかにも"それっぽい"黒服の男が降りてきます。
しかし本当にその車か確証が持てないため、いったん距離を取って様子を見ます。
すると、その黒服に先ほどの突っ立っていた男たちが近寄り、二言三言話してはミニバンに乗り込んでいきます。決まりです。
黒服に近づくと、予約の名前を尋ねられます。Rayshiki_でもReishikiでもなく、普通に本名を答えます。
黒服は手元のクリップボードを確認し、チェックをつけると車に乗るよう促してきました。
車内には既に4人ほどの先客が乗り込んでいます。そう、いくら何でも僕ひとりのために送迎車が出るわけはないのです。
どうやら予定の積荷は僕が最後だったようで、僕が3列あるうちの真ん中の列の席に着くと車は走りだしました。
車の天井には小さなモニターが取り付けられており、そこでは昼のワイドショーが流れていました。
ワイドショーの声とエンジン音以外は無音の車内です。誰一人、口を開きません。
これから戦いに赴くのだ、とでも言わんばかりの緊迫感が車内を支配しています。

平日の真昼間から風俗に行く男たちが緊張感を放っているのです。
車は上野駅前を離れ、風景は次第に下町色が強くなっていきます。吉原というエリアを訪れるのは初めてでした。全てが終わり、店を出たらこの辺を軽く歩き回って観光するのもいいかもしれません。
Googleマップで自分が今どこを移動しているのか確認しつつ、そろそろ吉原エリアだなと考えていると、車が止まりました。
外壁は白く、どこか洋風な雰囲気を漂わせる、ビルというにはまた違った趣の建物。
どうやら僕の予約した店はここのようです。(店名)の方はここでお降りください、と促されます。
なるほど、どうやら複数の店の客がこの車には乗り合わせているようです。効率的なシステムが組まれていることに感心しました。
車を降り立ち、自動ドアを抜けると左的に受付カウンターがあります。
そこで予約した名前をまた尋ねられ、答えると奥の待合室に通されます。

 

待合室にはコの字型にソファーが配置されており、コの字の内側にガラステーブル、開いている辺にテレビが置かれていました。
テレビでは相変わらずワイドショーが流れています。
ソファーの適当な場所に座り、世情に疎いがゆえにほとんど内容が頭に入ってこないテレビを眺めます。
すると程なくして店員がお茶のグラスとおしぼり、そしてクリップボードを持ってきます。

クリップボードにはボールペンと一枚のアンケート用紙が挟んでありました。
これはいわゆる(いわゆるのか?)事前アンケートというものです。
ソープのようなそこそこ高めの風俗では、「責められたい」「責めたい」など、プレイの要件について事前に回答することができるという慣習があります。
今回の事前アンケートの質問では責めたい/られたいの他にも、性感帯などについての選択項目もありました。
竿、乳首、玉、肛門などなどが選択肢としてありましたが、そもそも竿が感じない人がこの店に来るのか?という疑問を感じました。
ちなみに僕は乳首は感じない気質、肛門は全く未開発のフロンティアでこれから高度成長するブルーオーシャン(ブラウンですが)なので、それ以外に〇をつけました。
一通り回答フォームを埋めて控えている店員に渡し、、グラスのお茶に口をつけます。
渇いた口内にお茶が染み渡るのを心地よく感じたその時になって初めて、自分がひどく緊張していることに気づきました。
風俗とは緊張するものです。少なくとも僕にとってはそうです。何回行ったとしても、こればかりは治らない気がします。
生まれて初めて対面する相手と、一定時間のあいだ個室である意味深くて普通に浅い関係を持つ、それはコミュニケーションに障害を抱えたオタクくんを緊張させるに十分な営為だと思われるのです。

少しでも緊張を和らげるため、周囲を観察してみることにしました。
ガラステーブルの上には灰皿と、飲食店のメニューと同じ装丁の在籍嬢一覧表(写真つき)が置いてありました。
リラックスするためにタバコを吸うというのは有効な手段ですが、この嫌煙のご時世、周りの誰も吸っていない中で吸い始めるのは躊躇われました。

いくら喫煙可の場所とはいえ、周囲の他人の誰か一人にでもそれで嫌な顔をされたりしたらさらに精神力が削られてしまいます。
周りの客は一様に堅い面持ちでスマホをいじったりテレビを眺めたりしています。
大体は中年から壮年といった雰囲気です。働き盛りの男たちというわけですが、今は平日、ここはソープです。
そこで嬢の一覧表を手に取って開いてみます。公式HPと同じように、嬢の名前と写真と3サイズ、その他の簡単な自己紹介といった情報が並んでいました。
ここに座っている時点で客はその日の嬢を決めているはずなので、「次に来た時にはこの子を指名しよう」と思わせるのが目的なのでしょうか。
一覧表を一瞬で読み終わると退屈が訪れます。情報中毒のADHDは読むもの見るものが無くなると1分で窒息するのでこれは大変です。
とりあえずテレビに目を向けてみると、ワイドショーにて某金ねンだわ氏の話をしていました。
悪いインターネットでの彼を巡る言説が様々に思い起こされ、少し緊張がほぐれました。

 

そんなことをしているうちに、準備ができたので来いとの声がかかります。
いよいよ嬢とのご対面です。店選びからこの場所に至るまでの全ての情報戦の結果が明かされる時がとうとう来ました。
店員に促されるまま待合室を出て廊下を進み、カーテンのかかった階段の前に至ります。
この一段目の上の天井にカーテンが吊るされた階段というのは風俗店によくある構造です。
嬢はこのカーテンの向こう側、階段を一段上ったところに立って客と対面します。
客はカーテンをくぐらなければ嬢の顔は見えないわけで、そこが一番緊張する瞬間というわけです。
ちなみに帰る時にはこのカーテンの手前で嬢に別れを告げ、客だけがここをまたくぐって帰っていきます。
つまりこのカーテンは「あちら」と「こちら」を隔てる門なのです。

 その門をまさにくぐらんとするところで、後編へと続きます。

秋葉原のリフレ店に行ってきた話

リフレって何だよ、という人は「JKリフレ」あたりでググってほしい。といってもこれは条例上あまりよろしくないので、今回行ってきたのはJK風リフレ、とでも言うべきだろうか。

ここで言うリフレとは、要するに若い女の子が個室で色々とサービスをしてくれる店である。サービスといっても基本的にマッサージやハグなどであり、基本的に性的なものは含まれない。少なくとも今回は無かった。あるところにはある、らしいが。

 

限界だった。そう、限界だったのだ。人間と話したい。血の通った人間と話をしたい。仕事をしながら、そんな思いが頭からずっと離れなかった。仕事の場に居る人間はあくまでシステムの一部に過ぎず、人間ではあるかもしれないが血は通っていない。無論、その中のそのまた一部である俺もまた、血の通わない部品であった。俺は、人間に戻りたかった。

 

だからリフレに行くことにした。

 

何故リフレなのか。それは、欲しいものは性感ではなかったからだ。俺はただ、人と話したかった。優しくされたかった。ただそれだけなら、性的サービスは無くていい。いや、あるならあるに越したことはないのだが。

ともかく今回のこの衝動に対する最適解はリフレであったのだ。

それに、ソシャゲのデイリーミッションの如く毎日射精している人間にとっては、衝動的に風俗に行くのはコスパが悪いのだ。攻勢を成功させるには、入念な計画のもと弾薬物資兵力を集積せねばならない。その場の思いつきでの攻勢は、春の目覚め作戦のようになってしまう。

一方リフレには弾薬は要らない。弾薬の必要なサービスが無いからだ。

 

さて、どこのリフレに行くか。決まっている。秋葉原である。

なぜ秋葉原かって?オタクが秋葉原を選ぶことに理由は必要だろうか?

 それはまるでイスラム教徒がメッカを目指すように。

 

周りの乗客に「やっぱりな」という顔をされながら秋葉原駅で降りる。

秋雨降りしきる18時半、電気街口を抜け、グーグルマップを見ながら目的のビルへ。

店はもう決めている。猫などを殺すと言われるその感情の名を冠したその店は、何ということもない雑居ビルの1フロアにある。

 

目的のビルの前に辿り着く。確かにここだ。

小さくはあるが、看板も出ている。「癒し」「制服」「美少女」「ふれあい」などの言葉が並んでおり、BBCに送り付けたくなる。

さあビルに入ろう、エレベーターに乗って店に入ろうと足を進め……ない。

足が動かない。

足を止めているこの感情はなんだ。

そうか、これは。

羞恥だ。

恥ずかしいのだ。

 

恥ずかしい?一体何が?ピンサロにもソープにも行くこの俺が、いったい今さら何を恥ずかしがるというのか?

そのような店に入る時には、いつだって緊張してこそいれど、羞恥という感情を味わったことはなかったはずだ。

これから入る店はむしろそういった店よりずっとソフトな、いわゆる健全店であるのだから、世間に憚ることなど何もないではないか。

 

いや違う。

健全店だから、そこに性欲は無いからこそ、恥ずかしいのだ。

不能者とかそういうモノについてはとりあえず置いておくとしても、性欲は誰もが持つ。故に、それを発散させようと性的サービスのある店に入ることは、普遍的な行いである。

一方、この店に入る人間は何を求めるのか。癒しである。癒しとは何か。明確な定義はきっとできないが、その構成要素の一部は分かる。

愛だ。愛情だ。愛情を求めて、俺は今ここに立っているのだ。

愛情が足りないから、それを金で買おうとしている。その姿を恥ずかしいと感じているのだ。

ここに至り、愛情というものがさも存在するかのように考えているだけでなく、それは金によってではなく自然に得られるべきものだとまで思っている、自分の痛々しいまでのナイーブさが析出されたのである。今となってはその方がよっぽど恥ずかしい。

それを考え出すと今度はこのブログ自体がそもそも恥ずかしいという話になり、恥の多い生涯案件ということで最終的に自殺するか精神病棟にぶち込まれるしかなくなるのだが。

話が面倒になってきた。

要するに以下のような話である。

すなわち、性欲に突き動かされておちんちんを気持ちよくする店に行くより、愛に飢えて別におちんちんを気持ちよくもしてくれない店に行く行為の方が、なんだかキモく感じられた。ただそれだけの話である。

明快なロジックのある話ではないので、全く共感できない人も居るだろう。俺も書きながら疑問を払拭できていない部分はある。

別にそれでも良いと思う。これはその時の偽りなき俺のお気持ちなのだから。半分くらいの人はやんわりと共感してくれる気もする。

 

ここまでの逡巡がおよそ3秒である。

軋む感情を引きずりながら、ビルに踏み入る。ここまで来たらいまさら引き返せない。否、秋葉原駅の改札を出た時点で、もう既に運命は決まっていたのだ。

 

目的のフロアに辿り着き、素っ気ない鉄の扉を開けると、暖色系の少しだけ薄暗い照明に照らされた受付カウンターがあった。カウンターの店員は若い女だった。

初めての利用であることを告げ、サービス内容やコースの種類などの説明を受ける。

コースは下調べの時点で既に決めている。6000円、20分×2回転のコースだ。

風俗用語での回転というのは、嬢が切り替わることである。つまりこの場合、まず1人の嬢と20分間楽しみ、その後また別の嬢と20分、というわけである。

そこに更にネットのクーポンを使い1000円引きにする。金が無い人間は情強になるしかないのだ。

料金は前払いだという。クレジットでの支払いの可否を尋ねると、10%の手数料が上乗せになるので非推奨だという。仕方ないので現金で5000円を払う。VisaとJCBとMasterCardに通報するぞ貴様。しなかったけど。

 

精算を終えると、嬢の指名フェイズに入る。

この指名では、マジックミラー越しに嬢を目で見て選ぶことができる。人生初のマジックミラー体験である。

カウンターの隣にはドアがあり、そのドアの上の方、ちょうど男性の目線くらいの位置にはカーテンがかけられている。カーテンを捲ると、その部分がマジックミラーになっているのだ。

壁が全面マジックミラー張り、のような感じを事前にイメージしていたのだが、そうではないらしい。

ミラーの向こうはひな壇のような構造の小部屋になっており、そこに嬢がこちらを向いて並んで座っている。

俺はそれを見て怖いと思った。

なぜか。

それは、嬢がみな一様にこちらに向けてじっと視線を向け、微笑んでていたからだ。

マジックミラーとは、片方の側からしか向かい側が見えないものだ。つまり、俺は彼女らを見ることができるが、彼女たちの側からは俺は見えていないはずだ。

にもかかわらず、彼女たちはじっとこちらを見ている。合わないはずの目線を、合わせてくる。

俺にはそれが、恐ろしく感じられた。

もちろん理屈では分かる。彼女たちは自分が選ばれるためにそこに居るのだ。選ばれたいのなら、最大の売りものである自らの顔を、客に見せねばならない。それに、自分は愛想が良いということも示さねばならない。客が求めているのは、きっとそういうものだからだ。そのため、彼女らはまさしくポーズとしてこちらに顔を向けているだけなのだと。

しかし、この「見られていないはずなのに、見られているように感じられる」、この恐怖感は理屈では拭えなかった。

もしもこれがマジックミラーであるというのは嘘で、実際はただのガラスだとしたら。

自分の欲望だけを剥き出しにして無遠慮な視線を投げ、無防備に品定めしているその姿が、実は相手に見えているとしたら。

自分は見られていないと思い込んでいる客を見て、嬢は内心の嘲笑を押し隠しているのだとしたら。

深淵を覗く時に、深淵からも覗き返されているのだとしたら。

 

とはいえ金はもう払ってしまったのだ。性善説を信じ、嬢を選ぶしかない。実はこの手の店で嬢を選ぶのは初めてだ。初めての体験を大人しく楽しもうではないか。

しかし決まらない。嬢は5人ほど並んでいたが、顔面のレベルはそれほど差がないように見えた。というか、微妙に薄暗くて見えづらかった。それでも、全体のレベルは格安帯の風俗より高いように思えた。そこはやはり、性的サービスがないライトな形態だからこそだろう。顔が良ければ粘膜を売らなくても稼げるのだ。

逆に言えば、顔が良くないと粘膜くらいしか買ってもえらない世界なのだろう。

 

どれを選んでもさして変わらないように見えるので、結局、適当に選んだ。じゃあその端っこの子で、といった感じである。恐らく大外れということはないだろう。

選んだ嬢を受付に伝えると、スリッパに履き替えて店の奥の個室に案内される。

ここで嬢を待つように告げ、受付は去った。

とりあえず腰を下ろし、周りを見渡す。

南国風の絵が描かれた個室の壁は天井にまで届いておらず、事実上のブースのようなものだ。耳をすませば隣の部屋から声が聞こえる。

床にはマットレスのようなものが敷かれており、これは添い寝サービスに対応したものであろうと推測できた。

 

そんなことを考えていると嬢が来た。

女子高生の夏制服を纏った嬢は名前を名乗り、俺の前に座った。

こうして間近に見ると、顔立ちは特段の美人というわけではなかったが、優しそうな笑顔が印象的な細身の女性だった。

この話では嬢が二人出てくるので、こちらを以下では嬢1と呼称する。

この店に来るのは初めてか、外の天気はどうか、普段は何をしているのか、などとお決まりの話をする。

お決まりと書いたからにはさぞ滞りなく滑らかに、定例作業のように消化したのだろうと思われるだろうが、この時実はガチガチに緊張していた。

「人間」と話すのが久しぶりすぎたのである。

会話力が普段の十分の一も発揮できていない。人間と会話するための領域が完全に錆びている。就活の面接が想起されてきた。

しかし嬢1は、それでも俺の手をずっと握りながら会話してくれた。手を握られたからといって直ちに緊張が解けるわけではないが、それでもこういうのが「癒し」なのだろうな、と感じた。

そして、なぜか頬を触られた。夜なのでヒゲが伸びていて触り心地がよくないだろうに、肌が綺麗だと言われた。「肌が綺麗」というのは男性に対する褒め言葉なのだろうか、とも考えたが、とりあえず素直に受け取っておくことにした。

しばらく頬を触られ続けていた。人間に触れられるのも、果たしていつ以来だったろうか。

 

そういえば、と気になって尋ねる。ここのサービスには、どんな内容があるのか。

受付でも、明確なサービス内容は実のところ示されなかったのだ。

すると、飲食店のような冊子型のメニュー表を渡される。添い寝10分3000円、チェキ1枚2000円、マッサージ4000円……。ビンタ1回1000円などというのもある。他にも色々あったが、よく覚えていない。ぶっちゃけ額面も概ねこんな感じだったな、程度である。

なるほど、そういうことか。

つまり、先ほど支払った5000円は基本料金である。そしてその基本料金に含まれるサービスは、こうして会話して手を握ることまでなのだ。

このまま何のオプションも頼まないというのは、淡泊にすぎるように思えた。

丸亀製麺で290円の素うどんだけでは満足できないのと同じ心理である。いや、素うどんだけ、あるいはそれに天かすとネギを山ほど載せて満足する人も居るのだろうが、そもそもそこまでドケチな人間は嬢が出てくるタイプの店には来ないだろう。俺は天ぷらやおにぎりも追加で頼んでしまう側の人間である。

しかし、率直に言ってオプションに何千円も払いたくない。国連よろしく間もなく現金が底をつく。

付けるなら安いオプション、かつ愛情を得られそうなものを……見つけた。

ハグ5分1000円、これだ。この道しかない。

「欲望の解放のさせ方がへた……Reishikiくんが本当にほしいのは……こっち(添い寝オプション)……!」と幻聴が聞こえたが、無視する。

このオプションにする旨を伝えると、代金はこの場で払うシステムになっている、と申し訳なさそうに言われる。

大人しく財布から千円札を取り出して手渡すが、制服の女の子に札を手渡す社会人という絵面のヤバさに気づいて笑いそうになってしまった。

ともかく支払いを済ませ、マットの上に座った体勢のまま抱き着く。

暖かく、柔らかい。細いのに確かな柔らかさのある身体に、女性性という言葉が浮かぶ。体温で精神が融解する。ここに至りようやく、自分が生きている人間であることを思い出した。

抱き着いたまま、会話を続ける。

自由だった大学生活から社会に放り込まれ窮屈さを感じていること、仕事が1mmも面白くないこと、職場では基本的に一人であることなどの愚痴を言う。それを相槌とともに聞いてもらえることが、何よりありがたかった。相槌で十分なのだ。

今度は嬢1の身の上話を聞く。普段はある職種の専門学校に通っているという。だから制服を着ているけど、本当は女子高生じゃないんだよ、と笑う。

女子高生だったら俺が捕まってしまうので困る。切実に。

しかし、秋葉原には実際に女子高生が働いている店もまだあるのだという。嬢1の知り合いのリフレ嬢も、それが原因で摘発されて店が潰れたのだと。BBCの記者が食いつきそうなネタである。しかしまあ、こういう自分の足元を掘り崩すような不謹慎の色を帯びた話は嫌いではない。

 気づけば当初の緊張は消えていた。そして、あっという間に1000円で買ったハグの時間も、20分の制限時間も終わってしまった。

最後に今日は楽しかったと伝えたところ、なぜか「えっ絶対嘘でしょ~」と言われた。なんでや。表情が乏しいオタクの宿命だろうか。

 

嬢1が個室から立ち去ると、先刻の受付が入れ替わりにやってくる。次は受付さんと……ではなく、次の嬢を選びに来い、という話である。

果たして次の嬢こと嬢2もまた、適当に選んだ。マジックミラー越しだとどうにも人間の顔が区別できない。微妙に像が歪んでいるようにすら感じられた。

 

また先ほどと同じ個室に引き返し、嬢2を待つ。

程なくして現れた嬢2は、はっきりとした顔立ちの目が大きな女性であった。

某巨大掲示板に投稿された言葉を借りるのなら、「自分の意志がありそう」という印象を受けた。嬢1の時と同様、お決まりの会話が始まる。年齢を問われたので正直に答えると、23歳には見えない、それにしてはとても落ち着いているとのお言葉をいただいた。

この文脈での「落ち着いている」という表現は、要するに「老けている」という言葉の婉曲表現である。類するものとしては「真面目そう」→「オタク臭い」などがある。

ちなみに、休日に何をしているかと問われたので、主にアニメを見ていると答えたところ、アニメはドラえもんくらいしか分からないとのことだった。秋葉原という土地で、それでいいのか。まあいいのだろう。

ともあれ定型会話を一通り消化したところで、オプションはどうか、と聞かれる。営業熱心なことだ。

まあ先の嬢1で癒し成分はある程度補給したわけだし、ここは節約志向でオプションは謹んでお断り……ともならず、再びハグ5分のオプションを指定する。人間の欲望に果ては無く、財布に開いた穴は塞がらないのである。

壁を背もたれにしてあぐらをかいて座るように指示され、それに従うと、嬢2はその膝の上に乗って抱き着いてきた。嬢2の背中に手を回して支え、ちょうど対面座位の恰好である。顔がぐっと近づき、その大きな目に吸い込まれそうになる。衝動的にキスをしそうになり、さっと目を逸らす。衝動に負けたら出禁だ。すると嬢2はクスっと笑い、

 

「君、目を合わせるの苦手でしょ」

 

見破られた。人間が怖くて怖くてたまらず、目を見るのが怖いという本性を、見透かされた。

舌のエンジンもようやくかかり、嬢1の時より滑らかに会話はできていたはずなのに。

昔、高校生の頃に同じ指摘を受けた。それからは、意識して直していたはずなのに。

やはりそう見えるか、と問うと、

 

「だってさっきからずっと、目より下の方ばっかり見てたもん」

 

そう言うと、嬢は自らの胸に手を当てる。胸ばかり見やがって、ということか。

常識的に考えたら、気まずいシーンだろう。しかしこの時の俺は、むしろゾクゾクする快感を味わっていた。

何故か。人間が、自分を見ていると分かったからだ。人間が自分を見て、自分が隠しているつもりの欠点を言い当てたのだ。つまり、隠しているものを見透かすほどに、目を向けていたからだ。目を向けること、それに対して言葉を向けること。すなわち承認に他ならない。ここで俺は、承認を得たのである。今目の前に居る、体温のある人間からの承認である。

ふらつく頭ですみませんと謝罪の言葉を述べ、嬢2の肩に頭を乗せ、頬で髪の柔らかな感触を味わう。自分の胸では、先ほどまでガン見していたらしい嬢2の胸の感触を楽しむ。軽く勃起していた。体勢からして恐らく気取られていただろうが、色々な意味でそこに触れられることはなかった。

そのまま5分間、嬢2の体温と感触を楽しんだ。会話し疲れていたというのもあるが、静かにじっとしていたくなるような心地よさを感じていた。すぐ状況に飽きるADHDには、5分は案外ちょうどいいのかもしれないと気づいた。

5分が過ぎた後は素直に身体を離し、制限時間まで隣り合って会話を続けた。

嬢2は普段は歯科助手をやっていると聞き、患者に胸を当てるやつをやったりしているのだろうかと思った。それを口に出したらセクハラじみてしまうので言わなかったが。

仕事や学歴を含めた身の上話をすると、ネガティブなことばっかり言うんだね、とまた笑われた。ネガティブなのは手癖もとい口癖なので、こればかりはどうしようもない。

自覚のあることをこれまた言い当てられ、自分の存在が相手に伝わるという形でこれもまた承認だと感じる。コミュニケーションとはこういうものであった気がする、忘れていたが。

 

20分が過ぎる。嬢2に手を引かれ、フロントまで出る。そういえば嬢2の手に触れたのはこれが初めてだ。

またね、と言葉を交わし、手を振って店を出る。

決まり文句、社交辞令にも等しい「またね」だが、案外そうでもない気がする。「また」があって良いと思えた。

 

エレベータを降り、秋葉原の街に出る。世界が変わって見える、だなんてことはない。陰鬱な秋雨はまだ降り続いている。ほぼ40分も喋っていたせいか、疲労感も寄せてくる。

しかし、気分は悪くなかった。秋葉原電機屋は夜になるとすぐ閉まってしまうが、夕飯探しのついでに少し歩き回ってみよう。だって。街を歩き回るのは好きだから。そう思えるくらいには、人格を取り戻すことができた。

 

 

翌日、翌々日くらいは、嬢2のことが脳のメモリから離れなかった。よもやこれがガチ恋か、まさか自分がリフレ嬢にガチ恋するなんて、と内心泣いていた。こんなことTwitterにすら書けない。

しかし、一週間も経てばめでたくアーカイブ化され、思い出そうと思えば引き出せる、程度の位置に無事に収まってくれた。

とはいえ、これを書くためにまた思い出していたらまた話してみたくなってきた。源氏名は覚えているし、次は指名してもいい。

 

 

以上

深夜のサウナでホモに絡まれた話

今回は風俗の話ではありません。

メモ帳スクショ4枚になりそうな感じのお話です。

 

・概要

深夜4時前にサウナに入っていたところ、ホモと思われる男性(ZUNに似ていたため以下ではZUNと表記)に絡まれ、タオル越しに陰茎を触られた。

はっきりと拒絶の意志を伝えたところ、ZUNはどこかに去っていった。

 

・詳細

人気のない深夜4時前のス●イスパのサウナ。ほぼ貸し切り状態の中、このサウナの最大の売りである、窓から見えるみなとみらいの夜景を楽しんでいた。

あるフォロワーがかつて「現代人には●カイスパから夜景を見てぼんやりする時間が必要なんだと思う」的なことを言っていたが、それは全く正しいと思う。

 

そんなところで、ふらっとサウナに現れたZUNがいきなり隣に座ってきた。

この時点で怪しさMAXである。

満員御礼のアウフグースでもないのに、わざわざ人の隣に座ってくるなんてどうかしている。サウナは時に発展場としての側面を持つ、そんな情報が想起される。

すると案の定、ZUNはこちらに目を合わせ、口を開いた。

 

「夜景、きれいですね」

 

「……そっすね」

 

そこからは適当に身の上話が始まった。ここにはよく来るのか、どこに住んでいるのか、仕事は何をしているのか。そういった話が、あたりさわりのない範囲で広げられた。

●カイスパにはそれなりの頻度で訪れているが、こうして話しかけられるというのは初めてであった。この時間帯に訪れるのは初めてであったため、こうしたこともあるのかもしれない、くらいにぼんやりと考えていた。サウナの熱気は思考力を鈍らせる。

曰く、ZUNは横浜はみ●とみらいのタワーマンションに住んでおり、KO大学医学部卒の医者であるらしい。とんだハイスペック神主である。Twitterで鍛えた嘘松レーダーがビンビンに反応している。いやこの文脈でビンビンだとマズいのだが。

 

「どういった分野の(医者の)先生なんですか?」

 

「アレです、男性にとっては結構重要な……EDです」

 

はあ。私は外科とか内科とかそういう答えを想定していたのだが、そう来るか。

そして、EDというものの恐ろしさを一方的に説かれる。EDになると自信、尊厳が失われる。若くてもなる人は居る。いつなるか分からない。この部分は、まあ、せやなという感じではある。

しかし。

そして、医者である自分が少し診れば兆候は簡単に分かる、とも。

どうだ、EDは怖いだろう、だから少し自分に診せておくれよ、ということである。

 

熱気に侵された頭でも分かる。これは、危険だ。

そもそも「診る」といっても、具体的に何をどう診るのか聞いても教えてくれない。

これは、了承したら危ない。「触診」されてしまう。

ニコニコで人気のホモビで言うと平野医院とかあの辺でやりそうな話だ。

 

ここまで思い至ったところで、自分は特に勃起に問題を抱えておらず、EDになったらそれはそれだ、人生そんなものだという旨を伝えた。

つまりは拒否である。お前に診察させる陰茎はない。睾丸も肛門も前立腺もない。

そして間髪入れずに黙って水風呂へと離脱する。この場を離れ、頭を冷やさなくてはならない。

 

水風呂の中で先ほどの一連の流れを振り返りながら今後の方針を練る。

身の安全を第一に考えるなら、今すぐサウナから離脱するべきなのかもしれない。

しかし今は午前4時。始発にもまだ幾らか早い時間だし、ホモに追われて逃げるというのも癪である。オタクは趣味には妥協しないのだ。

先ほど明確に拒否したことだし、もう迫ってはこないかもしれない……。

そんなことを考えていると、

 

「ここに居たんですか、もう少しお話しませんか」

 

また先ほどのZUNが現れた。考えが甘かった。魔の手からは逃れられない、というやつか。軽くホラーである。お話したくないから黙ってお前から離れたのだが。しかし悲しきかな、乏しい社会性の示すままに、愛想笑いと適当な相槌を返してしまい、そのままお話する流れとなってしまう。

 

ホモに導かれ、スチームサウナに入る。私はここのスチームサウナがあまり好きではないのだが、主体性と判断力の欠如により連れていかれてしまった。

誰も居ないスチームサウナ。そこでホモがまた身の上話をし始める。

 

「付き合ってる彼女が30代に入ってから、アブノーマルなプレイを求めてくるようになったんですよ」

 

お前ノンケかよぉ!?と驚きつつ、社会性を振り絞って話の続きを聞く。

 

「それで彼女が最近興味を持ち始めたのが、『人に見られながらセックスをする』ということでして」

 

ほう。

 

「それでですね、ここで会ったのも何かの縁だということで、あなたに『見て』もらいたいんですよ。それで連絡先を教えてほしいんですけど」

 

ん?

 

ひと昔前なら、「それなんてエロゲ」となるような話である。

欲求不満の人妻ならぬ欲求不満の不審者の彼女である。

 

「……なるほど」

 

「それでですね、3Pの内容なんですけど」

 

認めよう。この時点まで私は、話に興味を持っていた。

先ほどエロゲ案件だと書いたが、この時の私は半ばこの話を信じてしまっていた。3Pに混ざるという話に乗りかけていた。精子脳と嘲られても仕方がない。

サウナの熱気は全てを狂わせる、とは少々苦しい言い訳だろうか。熱気は精子を殺すのだし。

 

「彼女はボーイズラブとかも好きな人でして」

 

ん?

 

「それで、僕たちの絡み、みたいなのも……やってほしいらしくてですね」

 

は?

 

「それは、どういう……」

 

「例えばほら、実際こんな風に僕に触られても、別にあんまり嫌な感じしないでしょ?」

そう言うとZUNは、突然私の腰とタオル越しの股間に手を伸ばしてきた。

目が覚めた。熱気がどうとか言ってる場合ではない。水風呂より冷えた。主に背筋が、そして脳が。 

 

「いや、普通に嫌ですけど」

本心である。心の底からの本心である。

 

「いやでも……こんな良い身体してるんだし…」

嘘だ。これは嘘だ、だって私は運動部に一度も入ったことがなく、近頃オタクに人気の筋トレという活動なども一度もしたことがないような人間だ。

良くて中年腹、悪くて餓鬼のようなと形容するのが相応しい身体だ。この前BMIを計算したらギリッッッギリ標準体型に収まっていたくらいだ。

そもそも仮に良い身体であったとしても、そうであることと男に触れられて喜ぶことの間に論理的なつながりは何もない。ロジック足りてない。 

 

「嫌です、やめてください」

何事も、はっきりと言明するのが一番である。直感だが、この手合いははっきり拒絶しないとダメだと感じた。社会性が産む曖昧さこそが諸悪の根源だ。ZUNの手を払いのける。

 

スチームサウナに静寂が訪れた。ZUNは押し黙ってしまった。何で私が悪いみたいになっているんだ。

居た堪れなくなり、私はスチームサウナを出た。私は別に悪くないのだが。

 

水風呂で身体を冷やし、浴室に配置された椅子に座って休憩する。

果たしてホモは再び現れることはなかった。ここに居たんですね、の声は二度と聞くことは無かった。私はホモを撃退したのだ。

 

はっきり拒絶すると消えるというのは、何だか日本の妖怪譚に出てくる妖怪のようである。ホモを妖怪扱いするとは、家の前でレインボーなデモをされそうであるが。しかし私は性的ハラスメントの被害者である。セクマイVS#metooで地獄のリベラル大合戦はちょっと見てみたい。

 

まだ始発の時間には少し早かったので、またドライサウナに入る。何が起ころうとも、サウナと水風呂を行き来する異常者の本質は変わることがない。

いつの間にかドカタ系の若者3人がスポーンしており、大声で下品な話をしていた。

 

「俺の弟が親の金盗んでピンサロ行ってさぁ」

「マジヤバいっすねそれ」

 

普段ならサウナで大声で話をされるとイライラするのだが、今回はなぜだか少し安心した。

 

その後、普通にサウナを出て、始発で帰った。

精算の時に店員に事の次第を軽く伝えたら平謝りされた。再発防止に努めるとは言っていたが、難しいだろうなと感じた。

Twitterで事案のことを書いたら、同じサウナで同じ時間帯に、同じようにホモに絡まれた経験があるというフォロワーが現れた。#metooを感じた。

 

・所感

 そもそも深夜にサウナに行くという異常者ムーブをするべきではなかった。

 

しかし、まさか自分がホモに狙われるとは正直思わなかった。顔が良いわけでも身体が良いわけでもないのに、まさか、と。

性犯罪の被害者はだいたい皆こんなことを言ってそうですが。ナンパされる女は大抵手頃なブスだという話もあるし、ハッテンにも案外そういう理論が通じるのかもしれないですね。

別にショックだとか過呼吸を起こしているとかホモフォビアになったとか、そういった後遺症は特にありません。終わってしまえば話のタネです。

同じ体験をするのは流石にもう勘弁ですが。

 

それにしても手の込んだ誘い文句を並べたてられたものだと思う。以下に改めて整理する。

 

・自分はED専門の医者なので、診察させてほしい。

・BL好きな彼女が求めるホモ要素のある3Pに付き合ってほしい。

 

ホモビデオのシナリオに普通にありそうな話である。クリエイティブ・ハッテンとでも言えばよろしいか。

特に後者は「自分には彼女が居る」という前提を置くことで、ノンケであるとの安心感をこちらに与えている。そしてそこからBLという確かに女性には好まれる材料を持ち出し、ホモ行為への道筋をつけるというダイナミックなシナリオである。常人の発想とは思えない。

その創造性には敬意を表したい。人間性に対しては、率直に言って死んでほしい。

貴重なサウナタイムを邪魔しやがって、失せろガバケツ野郎と言ったところである。

 

あとスカイ●パは本当にいいところです。サウナと夜景が好きなら一度は行くべきだと思う。深夜なんかじゃない、まともな時間にね。

初任給で60分16000円のソープに行った話・後編

適正価格の適正さを知る物語の後編です。

前編はこちらから

 

嬢に手を引かれ、部屋の前に立ちます。木製の古びた引き戸には「9」と書かれた札が提げられていました。

部屋の中には、足つきマットレスといった風体のよく言えばシンプル、悪く言えば貧相なベッド、そして小さなテーブルがありました。

そして、その奥にはタイル張りのお風呂スペースがありました。壁や扉などで区切られてはおらず、シームレスに部屋とお風呂が接続されています。お風呂スペースの向かって左側には小さな浴槽と、その反対側の壁にはマットが立て掛けられていました。そう、マットプレイのためのマットです。マットの上でヌルヌルするやつです。まあ今回は使われなかったのですが…。

 

初めて見る部屋の中をボケっと観察していると、嬢から座るよう促されます。おとなしく荷物を置いてベッドに腰掛けると、飲み物は何が良いかと聞かれます。アルコールという気分でも無かったのでとりあえずお茶にします。今思えばアルコールで脳ミソをガバガバにしておけばよかったかもしれない。

 

嬢は紙コップに入ったお茶を僕に渡すと、僕の横に座りました。僕と嬢の間には広辞苑1.5冊ぶんくらいのスペースがありました。

広辞苑1.5冊を挟んだまま、雑談タイムが始まります。

身分は何か、今日は休日なのか、どこで働いているのか、いつもの休日は何をしているのかといった、恐らくお決まりなのであろう雑談です。

休日は大抵アニメを観ているというと、「そっか~アニメか~……」と流されました。

流すなら聞くな。顔でおおよそ分かるだろう。

そんな広辞苑タイム(岩波書店さんごめんなさい)が5分くらい続くと唐突に、「じゃあ脱いでください」と言われました。

「脱ぐって……全部ですか」

「はい、そうです~」

あ、なるほど、自分で脱ぐんですね。ピンサロと同じですね。まあ16000円だしそんなもんか。

 

僕が指示通りにモソモソと脱衣している間に、嬢もネグリジェ的な衣装を脱いでいきます。

 僕はこの辺になると完全に「今回の体験談をいかにTwitterとブログに書いてやろうか」しか考えていなかったのですが、それでも一応、横で女が脱いでいたら視線は向きます。

 

しかし。

この嬢の乳、伸びている……。

これはアレだ。

おばあちゃんのおっぱいだ。細く伸びている。漫☆画太郎の描くババアの乳だ。いや

あそこまで伸びてはいないけど、方向性としては間違いなくそれだ。

3歳くらいの頃、まだ元気だったひいおばあちゃんにお風呂に入れてもらった思い出が蘇ります。

天国のひいおばあちゃんに思いを馳せていると、嬢は身体にバスタオルを巻いて浴室スペースに移動します。

「少しそこで待っててくださいね~」

「ア、ハイ」

僕は全裸でベッドに腰掛けたまま、嬢が浴室で何かしているのを後ろから眺めます。

ここで気付きます。尻が貧相で汚い。全身が貧相なのはもう先ほどの時点で分かっていましたが、尻もか。そして、何やらシミもある。蒙古斑みたいな。

完全に性欲が凪いでいきます。乳も尻もダメなら何に欲情すればいいと言うのでしょうか。

どうやら嬢は洗面器の液体を混ぜているようです。これはアレでしょうか、ソープ嬢の伝統芸能と言われるお湯でローションを溶くやつ(参考:

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=67131216 )

でしょうかと、文化人類学的関心が頭をもたげます。性的関心は死んでいます。

 

 「準備できましたので、どうぞ」

「あ、はい」

嬢に促され、スケベ椅子に座らされます。人生初のスケベ椅子です。そして、ボディソープで身体を洗われます。こちらの全身にボディソープを塗った後に、嬢がそこに身体を擦り付けて泡立てるという方式です。

これは性的興奮を煽るプレイの一環なのでしょうが、感情とか性的欲求とかがほぼ死んでしまっているため、「ああ、洗われていることだなあ」とただ詠嘆するのみでした。

伸びた乳を擦り付けられても、不愉快でこそなくとも何の感情も生まれません。

しかし、スケベ椅子の凹部分から手を入れられ、所謂「蟻の門渡り」からアヌスにかけての部分を洗われた時には流石にアアアアッとなりました。気持ちいいかと言われるとんまぁそう……よくわかんなかったです(YJSNPI)といった感じでしたが。僕の後ろは未開発です。

 

一通り身体を洗われると、浴槽に入るよう促されます。お風呂に入る前には身体を洗いましょう、それはどんなお風呂でも共通なのですね。

しかし、この浴槽……小さい。ボーちゃんも溺れなさそうな安心設計です。人間一人が入るのにはそれなりに丁度いいのですが。

そしてお湯がぬるい。体感37℃くらいでしょうか。更にお湯が少ない。肩まで浸かれません。

これがお風呂屋さん(体面上)ですか。

そんなお風呂で悲しくなっていると、嬢が「一緒に入ってもいいですか」と問いかけてきます。ここで「ダメです」と答えたらどうなるのだろう。ドラクエ式の「はい」まで永遠ループするやつになるのでしょうか。それとも強制終了したりするのでしょうか。

ともかく嬢と浴槽内で対面する格好となりました。そして、水面から陰茎を露出しそれを咥えさせるという、あの潜望鏡プレイが始まりました。

しかし、ここまでの一連の感情喪失により潜望鏡は完全に沈黙しております。いくら咥えられても一向に応答がありません。

目の前の嬢はいくら乳は伸びていようがケツが貧相未満だろうが人間なので、人間のお仕事に対して何も返すべきものを返せないというのは流石に少し申し訳なくなります。

しかし下のお口は正直なので勃たぬものは勃たず、若干気まずい空気が流れます。

目を閉じて視覚を遮断し、自分は触手に性器を責められている魔法少女だと思い込むことで興奮を惹起しようとするなどの努力を払っていましたが、結局は何の性器もとい成果も得られないままお風呂タイムは終了となりました。マットプレイが体験できないということに、少しがっかりしました。もっと高いコースを頼まなければ入らないようです。

 

風呂から上がり、嬢に身体を拭かれ、再びベッドに移動します。ベッドに横になるよう指示され、嬢に馬乗りされる体勢となります。

そして覆い被さられたかと思うと、肩を舐められます。一瞬、吸血でもされるのかと思いましたが、舐めるポイントが段々と下半身の方に動いていくことから、これはいわゆる全身リップというやつなのだと理解しました。

結論から言えばこのパートが一番気持ちよかったです。乳首を舐められている時はシーツの端を掴んで耐えていました。自分をレイプされている美少女だと思い込む精神異常者となる作戦が成功しました。これなら性交できそうです。

どうにか臨戦態勢が整った怒張を確認すると、嬢は「そろそろ…しますか?」と問いかけてきます。

この機を逃すと永遠に決戦を挑むこと能わずと判断した僕は、迷いなく「はい」と答えます。皇国の興廃この一戦に在り。

 

嬢はどこからかコンドームを取り出し、手際よく装着してきます。この時が一番、嬢のテクニックを認めた瞬間であったと思います。

K市のソープは生でセックスができるところが多い、と小耳に挟んでいましたが、16000円で生ハメしたら医療費でその10倍くらい負担することになりそうなので、これは妥当と言えるでしょう。最も、その時は装着作業中の今にも萎えてしまわないかと心配する思いで頭がいっぱいだったのですが。

コンドームを装着すると嬢はベッドに仰向けに横たわり、カパッと股を開きます。

マンコは直視しませんでした。直視したら何かが終わってしまう気がしたからです。

 

挿入しました。

 

無です。

 

無がそこにありました。

何も感じない。

コンドームが厚すぎるのか。確かに安物っぽい質感ではあったような気がしました。厚さ1cmくらいありそうです。古代から近代にかけて使われていたという、動物の腸を素材としたものでしょうか。むしろ現代だと高くつきそうです。

 

それだけではありません。

この度の体験で一番印象に残ったのは、嬢の喘ぎ声でした。

喘ぎ声が、完全に同じパターンの反復でした。

しかもその声は、「真夏の夜の淫夢」4章の、「いいよ!こいよ!胸にかけて胸に!→ファッ!?ウーン…」のウーンの部分を加工して高くしたような声でした。

これが挿入中、ひたすら同じペースで発声され続けるのです。

完全に淫夢MADを見ているような気分です。

喘ぎ声を作るのは別にいいのです。売女の喘ぎ声などは興奮を煽る材料になりさえすれば、それでいいのです。その真実性は問われないのです。

しかし、その作成パターンが一つしかなく、しかもホモビデオを想起させるとはいかがなものか。

この回想に妙に淫夢ネタが入り込むのも、全てはこれによるものです。回想全体が毒される程度の破壊力はありました。

 

それでも挿入さえしてしまえば、あとは衝動のままに腰を動かすだけです。この衝動はADHD由来のそれではなく、きっと本能によるものでした。

遺伝子を残すことを諦めた人間の、それでも残る生殖本能。

穴があるのでとりあえず種を蒔いておく、そんな本能だけでどうにか性交渉を進めます。

 

そしてどうにか、何の風情も駆け引きもなく、ただ終わらせるためだけに事を終わらせます。

終わらせなければ終わらない。終わるまでは終わらないよ、とはかの名作アニメである少女終末旅行の教えです。

 

一通りの事が済み、しばらくベッドに横たわった後、嬢に一言断って裸のまま煙草をカバンから取り出し、火をつけました。

ハイライトの情け容赦ないタールが喉を締め上げる感覚は、何故だか救いのように感じられました。

嬢が自分も吸っていいかと尋ねてきたので、どうぞと返します。自分が吸うのに、他人に吸わせない理由はありません。それが誰であったとしても。

時計を見ると、制限時間まではまだ10分ほどありました。

そのため、嬢としばらく話をしました。

自分が今年から労働者となったこと。某都S区に通勤していること。初任給でここに来たこと、親に初任給でプレゼントをすべきか迷っていること、など。

S区の話をすると、嬢は「実家の家族にはS区でOLをしていると伝えているが、実際は行ったことがないのでよくわからない」という旨のことを言いました。60分の中で、僕はこのことについてだけは心の底から笑うことができました。

 

そして制限時間が来ると、僕も嬢も服を着て、部屋を出ます。

嬢に手を引かれ、4階から1階までまた階段を降ります。足の悪いご老人などには優しくないのではないでしょうか。

そして階段を降り切る直前、カーテンのかかったその目の前で別れを告げます。やっと解放される。

心にもない「またね」を交わし、背を向けようとすると嬢が少しだけ怪訝な顔をします。

一瞬考え、ああそうかこの場面ではキスをするのが風俗店の作法なのだなと思い至ります。ピンサロでもそうだった。

ほんの少しだけ、構わず出てやろうかと思いましたが、どんな相手であれ人間としては尊重しなければならない。

作法通りに軽いキスを交わし、カウンターの用務員おじさんの「ありがとうございました」を背中に、薄暗い店から転がり出ます。

 

昼の12時を少し過ぎた春の日差しを浴びると、途端に酷い倦怠感に包まれます。

それでも歩き出します。帰りたい。帰るべきだ。帰らなくては。

店を出て真っすぐ歩き、一つ目の角を曲がり、そしてしばらく歩いたところで、唐突に限界が来ました。道の横にあるビルにもたれかかり、しゃがみこんでしまいます。

身体ではなく、心がもう駄目なのでした。

しばらくそこで蹲っていると、これまた風俗店のボーイのような人が近寄ってきました。

そう、ここは風俗街。風俗店から少し歩いたところで、けっきょく風俗店しかないのです。

逃げなくては。ここから、離れなくては。もうこれ以上、耐えられない。何に?全てに。

その思いを杖として、どうにか立ち上がりまた歩き出します。

 

そして、どうにか電車に乗り、最寄り駅までたどり着きます。

電車の中で、Twitterにここまでの経緯を投げ捨てるように書き込み、少しだけ心が癒されました。Twitterは情報ソースであり分身であり我が家であり精神安定剤です。

 

駅に降り立ったところでようやく少しの空腹を感じ、ああそうか、今は昼飯時だったなと気づきます。

ランチ営業をしている居酒屋が目に入ったので、そこで海鮮丼を頼みました。

あまり美味しくありませんでした。

 

おわり。

初任給で60分16000円のソープに行った話・前編

K県はK市の、題名の通りのソープランドに行ってきました。

 

ソープランドというのはセックスまでできる風俗屋さんのことです。強制性交等罪の強制でもなく罪でもない部分ができます。等の部分はお金を払えば幅が広がります。古い言い方ではトルコ風呂などとも言います。

 

なぜ行ったのか。イキたいからイッたと言えばそれまでです。それ以上の理由があるのでしょうか。

まあ敢えて付け加えるなら、題名の通り初任給が出たからです。初任給が出たら風俗に行くべきだと、ローマ法大全にも書いてあります。

そして、本来なら「フォロワーと初任給でピンサロに行く」という企画があったのですが、それが延長されてしまったのでオナ禁して貯めた精液が行き場を失ってしまっていたということがあります。

そのため、急遽といった形でじゃあ安いソープにでも行ってみるかと、ソープ計画が前日の夜に立案され、そして翌日実行されたのでした。

ソープの相場は実のところ調べてないのでよく知りませんが、この倍くらいが適正価格なのではないでしょうか。

そう、これは適正価格がいかに適正かを知る物語。

 

ゴールデンウィーク初日、土曜日の午前11時、僕はK駅に降り立ちました。K駅は綺麗で立派なターミナル駅であり、近くには大きなショッピングモールもあります。

天気は快晴、駅はショッピングモールへと歩く家族連れや、地下のレストラン街などに向けて歩くカップルで賑わっていました。

そうした中をオタク特有の無感情さでかき分け、駅から10分程度の風俗街へ。

その道中、店に電話をかけ、今から入ることは可能かを確認。

本来ならもっと前に電話をするべきなのでしょうが、ADHDは衝動性に任せて動く生き物なので仕方ないのです。

午前中ということもあるのでしょうが、幸いにも店は空いており、問題なく入れるとのこと。公式HPに載っている午前中限定の格安コースを使う旨を伝えます。

さて、目的の店のある風俗街に差し掛かると、一気にキャッチが寄ってきます。イヤホンを着けていても死ぬほど寄ってきます。休日のこんな真昼間からご苦労なことだと思いますが、実際に客が来るからキャッチをしているのでしょう。僕のような客が。

 

キャッチをオタク特有の早歩きで躱しながら、無事に目的地の店を見つけました。店に入るとカウンターがあり、その辺の小学校で用務員でもしてそうな感じのおじさんが「ああ、さっきの電話の……」と声をかけてきたので、「はい、(本名)です」と返す。

よく考えたら偽名を使っても良かったかもしれない。

店は薄暗い木造建築でした。床が軋むレベルではありませんが、やや古びており、なるほど安売春宿だという感じがありました。物好き放蕩貴族のおっさんが階段で足を踏み外して死にそうな感じです。まあ宿ではないのですが。

「じゃあこの子、用意しといたから」と、嬢の写真とプロフィールが記載された紙を見せられます。指名などは特にしていないので、店側から空いている嬢を適当に宛がわれたという感じです。人を「用意する」という表現が何とも安風俗という感です。

プロフィールカードですが、一瞬だけ見せられてすぐ片付けられてしまったので、詳細に見ることはできませんでした。しかし、cup:Dという記述だけはどうにか確認しました。乳への関心が普段から非常に強いため、そうした情報だけは瞬時にキャッチします。

 

準備をするから少し待っていてくれ、ということで、待合室に通されます。3、と書かれた番号札を渡されました。

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待合室には既に二人の客が待っていました。正面の大きなテレビでは休日昼らしいひな壇のトーク番組が流れていました。何かドラえもんの話をしていたような覚えがあります。上の写真に「ホンヤク」と読めるように、ホンヤクコンニャクのことでも話していたのでしょう、きっと。

この風俗の待合室という空間には独特の空気があり、僕は割と好きです。

これから"戦場"(いくさば)に赴く男たちだけが放つピリッとしたオーラに充溢してい

ます。

そこに居る人はみな緊張した真剣な眼差しです。

しかしその先に待ち構えるものは、射精。

一説によるとその瞬間はIQがサボテン並になるという、射精。ejaculation.

 

そんなことを考えていると、すぐに先ほどの用務員おじさんから番号が呼ばれました。先に待っていた二人よりも早く。

来店直前とはいえ、一応は電話したことが功を奏したのでしょうか。

用務員おじさんに案内され、待合室から出て、階段のあるホールへ。

階段の上り口にはカーテンがかかっており、どうやらその向こうのに嬢が居るようです。

緊張しながらカーテンをくぐると……

 

 

 

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いや、あの

 

はい

 

なんか、こう

 

控えめに述べて1980年代半ばに生まれてそうな女性がおりました。

僕の1.5倍くらいは生きてそう。人生の厚み。重みが刻まれています。

嬢、という漢字を使うのが憚られます。

そう、ここは60分16000円のソープ。

なるほどね。

 

………

 

「嬢」は僕と目を合わせ、よろしく、と声をかけます。

僕は「ヨロシクオネガイシマス」と感情の無い敬語で返します。

感情はちょうど今死んだところなので、込めようがないのです。

 

 

嬢に手を引かれ、木造の階段を上ります。

部屋は4階だと言います。

階段で上るのか、4階まで。エレベーターじゃないんかい。

嬢だけでなく建物も16000円クオリティ。

貧弱なオタクには4階はキツいなあと思いつつ、どうにか上りきると部屋に案内されました。

 

ここからいよいよプレイが始まりますが、書いてると頭が痛くなって一向に進まないので後編に続きます。

 

旅行明けにピンクなサロンに行った話

表題の通りのお話をしようと思います。

 

2/28から3/3まで卒業旅行ということで四国に行っていました。まぁTwitterで実況してたのを見たという方も多いでしょう。

本来ならその内容をブログにまとめて「楽しかったぜ!!」とやるべき場面だと思いますが、僕はろくでもない人間なので敢えてこういう話をします。

 

今回の旅は一人旅ではなかったため、昼も夜もシコることができませんでした。僕はふだん、日に少なくとも一発、気が向けば二発は射精している人間です。そのため、せっかく溜まった分は質の高い射精をしようと思い立ち、ピンクサロンに行こうと思い至った次第でありました。

ピンクサロンとは何かを知らない方のために補足しておくと、

ピンクサロン和製英語:pink salon)とは、女性店員がフェラチオを主とした性的なサービスで接客する風俗店ソフトドリンクアルコール飲料も提供される。略してピンサロサロンと呼ばれ、同義語にピンキャバがある。ピンクサロン - Wikipedia

といった感じです。要するに、薄暗くて音楽がガンガン流れる、ネカフェのブースみたいな感じで軽く仕切られた空間で、「フェラチオを主とした性的なサービス」、つまり口と手による性的刺激を受けられる風俗店です。個室が要らないのでハコは狭く、ホテヘルみたいにホテル代もかからず、サービスの幅も狭いので基本的には格安な風俗です。お金の無い学生でもそこそこ行ける感じの価格です。僕が今回行ったところは30分6000円、学割(!)で4000円でした。指名は+2000円。一回しゃぶるごとに女の子はいくら貰えてるんだろうね。

 

さて、今回行ったのは東京は池袋の某T店、日曜朝10時少し過ぎのほぼ開店凸でした。天下の日曜日に一体何をやっているのでしょうか。Twitterでさんざん嘆いたことですが、飛行機の遅延やらガイジ特有の電車乗り換えミスなどが重なり、3/3の夜は成田に着けども家に帰ること能わず池袋のビデオ鑑賞ボックスで寝ていました。花太郎とか金太郎とかそういうギラギラしたやつです。そこをチェックアウトして即凸といった感じの動きです。親が見たら泣く姿です。

池袋の北だか西だかのあのうさん臭いエリアのど真ん中にその店はあります。道に面した飾り気のないドアを開けると、地下への階段があり、店員に声をかけられます。そこで学生証を見せ、学割価格・指名ナシで4000円を払い、ネカフェのソファー席からPCなどがある空間を抜いた感じのブースへと案内されます。そこでウーロン茶を渡され(wikiにも書いてあるけど建前上は飲食店だから飲み物を出さなければいけないのである)、嬢が来るのを待ちます。

果たしてやってきた嬢は……普通の顔でした。僕は女優や声優などの芸能人をよく知らないので、「○○に似ている」という便利な表現が使えないのです。その辺の偏差値55くらいの公立高校の女子生徒を10人くらい無作為抽出したら居そうな顔でした。特段の美人でもなければ顔面ベルリン陥落1945というわけでもない、ごく普通な感じです。4000円クオリティ。ちなみに服装はセーラー服風のペラいコスプレ衣装みたいな感じでした。ドンキに売ってそうなやつ。いずれにせよ薄暗かったので顔も服もあまり記憶に残らないというのが正直なところです。

嬢が着弾すると即尺……というわけではなく、まずは雑談から入ります。今日は休みですか、いや大学生ッスよ、といった感じの当たり障りないアレ。嬢曰く、まだ店に入って間もないとのこと。初々しい感じが好き、といった人は喜ぶのでしょうか。

嬢は雑談を始めながら身体を密着させてきます。胸はおそらくA~Bくらいでした。僕は大きいおっぱいが好きなので少し残念でしたが、指名代をケチった4000円なので致し方なし。いや致すんですけどね。

ともかくそうやって適当に身体を触り合い、こちらが臨戦態勢に入ったのが確認されたあたりから、嬢は上述のペラい衣装を脱ぎ捨て店の趣旨であるところの「フェラチオを主体としたサービス」を始めます。ちなみに口に含む前にはおしぼりで拭きます。シャワーとかが無いからのせめてもの抵抗といった感じです。

結論から言えば、技術としてはあまり上等ではなかったと思います。歯が当たりまくって痛え死ぬ!みたいな感じではなかったですが、今一つ最後のひと押しが足りないものでした。そしてこういった事柄には、最後のひと押しこそが肝要なのです。

そのため最後は自分の手で"取り扱い"、本当に最後の瞬間だけまた口で受けてもらうという手法を採りました。少し惨めったらしい気もしますが、一方で女の口をティッシュ代わりに使っているようなものなのでとても贅沢なことをしているようにも思えます。

オーラルセックスの様子について詳しく書くのは流石にこっぱずかしいというお気持ちもあり、また官能小説的な語彙を僕は持っていないという事情があるのでこれくらいの描写にて。羞恥心があるならまずはTwitterをやめろというお話なのですが。

射精が終わると、またおしぼりで拭かれます。そして、嬢は新しいおしぼりに精液を吐き出すと、いちど離席します。Twitterにも画像を上げた、メッセージカードを書くためです。

僕はいわゆる賢者タイムのまましばらく一人となりました。

服を着ると手持無沙汰となったので、ピース・ライトを取り出して火をつけます。煙を吐き出し、薄暗い中に立ち上る紫煙を眺めながら色々なことを考えます。

先日までの旅行のこと。これまでの学生生活のこと。これから就く職のこと。将来のこと。親の顔。4000円でできるはずだったことなど。その事柄には例えば後悔や悲しみなどといった感情の色はなく、ただ流れていくだけです。感情が起こるほど深く考えるには店内に流れる音楽はあまりにもうるさく、また僕はあまりにも疲れていました。身体的に。

ちょうどタバコが一本燃え尽きる頃に、嬢はメッセージカードを持って戻ってきました。

まだ少し時間があるとのことで、また雑談タイムとなりました。時間の使い方をミスったな、と感じました。プレイ中にスマホで時間を見るなどは盗撮が疑われるので不可能なので、ああこういう時にスマートウォッチとか着けてると便利なのかな、と思いました。いや、普通の腕時計で良い気もする。それはともかく、四国を旅行してきた話、次は東北方面に行きたい話、春からは働き始める話などをしました。詳細な内容はよく覚えていないけど、やはり水商売の女性というのは男に喋らせるのが上手いのだな、と感心した覚えがあります。

そうしている間に時は過ぎ、退店の運びへと。荷物をまとめ、嬢に手を取られて店の出口へ。最後に「また来てね」という決まり文句と、軽いキスを交わし店外へ。

薄暗い店から出た昼11時前の池袋はびっくりするほど眩しく、また青空と日差しは、冬がもう長くないことを悟らせるものでした。

身体的疲労とコミュニケーション能力の過度な使用による精神的疲労も相まってその場に倒れそうになるも、何とか踏みとどまりまっすぐ家路につきました。

 

社会人になったらやっぱりもっと高い風俗に行きたいですね。

それだけが、一般的な人生の喜びを完全に諦めた僕に、最後に残った道しるべです。