深夜のサウナでホモに絡まれた話

今回は風俗の話ではありません。

メモ帳スクショ4枚になりそうな感じのお話です。

 

・概要

深夜4時前にサウナに入っていたところ、ホモと思われる男性(ZUNに似ていたため以下ではZUNと表記)に絡まれ、タオル越しに陰茎を触られた。

はっきりと拒絶の意志を伝えたところ、ZUNはどこかに去っていった。

 

・詳細

人気のない深夜4時前のス●イスパのサウナ。ほぼ貸し切り状態の中、このサウナの最大の売りである、窓から見えるみなとみらいの夜景を楽しんでいた。

あるフォロワーがかつて「現代人には●カイスパから夜景を見てぼんやりする時間が必要なんだと思う」的なことを言っていたが、それは全く正しいと思う。

 

そんなところで、ふらっとサウナに現れたZUNがいきなり隣に座ってきた。

この時点で怪しさMAXである。

満員御礼のアウフグースでもないのに、わざわざ人の隣に座ってくるなんてどうかしている。サウナは時に発展場としての側面を持つ、そんな情報が想起される。

すると案の定、ZUNはこちらに目を合わせ、口を開いた。

 

「夜景、きれいですね」

 

「……そっすね」

 

そこからは適当に身の上話が始まった。ここにはよく来るのか、どこに住んでいるのか、仕事は何をしているのか。そういった話が、あたりさわりのない範囲で広げられた。

●カイスパにはそれなりの頻度で訪れているが、こうして話しかけられるというのは初めてであった。この時間帯に訪れるのは初めてであったため、こうしたこともあるのかもしれない、くらいにぼんやりと考えていた。サウナの熱気は思考力を鈍らせる。

曰く、ZUNは横浜はみ●とみらいのタワーマンションに住んでおり、KO大学医学部卒の医者であるらしい。とんだハイスペック神主である。Twitterで鍛えた嘘松レーダーがビンビンに反応している。いやこの文脈でビンビンだとマズいのだが。

 

「どういった分野の(医者の)先生なんですか?」

 

「アレです、男性にとっては結構重要な……EDです」

 

はあ。私は外科とか内科とかそういう答えを想定していたのだが、そう来るか。

そして、EDというものの恐ろしさを一方的に説かれる。EDになると自信、尊厳が失われる。若くてもなる人は居る。いつなるか分からない。この部分は、まあ、せやなという感じではある。

しかし。

そして、医者である自分が少し診れば兆候は簡単に分かる、とも。

どうだ、EDは怖いだろう、だから少し自分に診せておくれよ、ということである。

 

熱気に侵された頭でも分かる。これは、危険だ。

そもそも「診る」といっても、具体的に何をどう診るのか聞いても教えてくれない。

これは、了承したら危ない。「触診」されてしまう。

ニコニコで人気のホモビで言うと平野医院とかあの辺でやりそうな話だ。

 

ここまで思い至ったところで、自分は特に勃起に問題を抱えておらず、EDになったらそれはそれだ、人生そんなものだという旨を伝えた。

つまりは拒否である。お前に診察させる陰茎はない。睾丸も肛門も前立腺もない。

そして間髪入れずに黙って水風呂へと離脱する。この場を離れ、頭を冷やさなくてはならない。

 

水風呂の中で先ほどの一連の流れを振り返りながら今後の方針を練る。

身の安全を第一に考えるなら、今すぐサウナから離脱するべきなのかもしれない。

しかし今は午前4時。始発にもまだ幾らか早い時間だし、ホモに追われて逃げるというのも癪である。オタクは趣味には妥協しないのだ。

先ほど明確に拒否したことだし、もう迫ってはこないかもしれない……。

そんなことを考えていると、

 

「ここに居たんですか、もう少しお話しませんか」

 

また先ほどのZUNが現れた。考えが甘かった。魔の手からは逃れられない、というやつか。軽くホラーである。お話したくないから黙ってお前から離れたのだが。しかし悲しきかな、乏しい社会性の示すままに、愛想笑いと適当な相槌を返してしまい、そのままお話する流れとなってしまう。

 

ホモに導かれ、スチームサウナに入る。私はここのスチームサウナがあまり好きではないのだが、主体性と判断力の欠如により連れていかれてしまった。

誰も居ないスチームサウナ。そこでホモがまた身の上話をし始める。

 

「付き合ってる彼女が30代に入ってから、アブノーマルなプレイを求めてくるようになったんですよ」

 

お前ノンケかよぉ!?と驚きつつ、社会性を振り絞って話の続きを聞く。

 

「それで彼女が最近興味を持ち始めたのが、『人に見られながらセックスをする』ということでして」

 

ほう。

 

「それでですね、ここで会ったのも何かの縁だということで、あなたに『見て』もらいたいんですよ。それで連絡先を教えてほしいんですけど」

 

ん?

 

ひと昔前なら、「それなんてエロゲ」となるような話である。

欲求不満の人妻ならぬ欲求不満の不審者の彼女である。

 

「……なるほど」

 

「それでですね、3Pの内容なんですけど」

 

認めよう。この時点まで私は、話に興味を持っていた。

先ほどエロゲ案件だと書いたが、この時の私は半ばこの話を信じてしまっていた。3Pに混ざるという話に乗りかけていた。精子脳と嘲られても仕方がない。

サウナの熱気は全てを狂わせる、とは少々苦しい言い訳だろうか。熱気は精子を殺すのだし。

 

「彼女はボーイズラブとかも好きな人でして」

 

ん?

 

「それで、僕たちの絡み、みたいなのも……やってほしいらしくてですね」

 

は?

 

「それは、どういう……」

 

「例えばほら、実際こんな風に僕に触られても、別にあんまり嫌な感じしないでしょ?」

そう言うとZUNは、突然私の腰とタオル越しの股間に手を伸ばしてきた。

目が覚めた。熱気がどうとか言ってる場合ではない。水風呂より冷えた。主に背筋が、そして脳が。 

 

「いや、普通に嫌ですけど」

本心である。心の底からの本心である。

 

「いやでも……こんな良い身体してるんだし…」

嘘だ。これは嘘だ、だって私は運動部に一度も入ったことがなく、近頃オタクに人気の筋トレという活動なども一度もしたことがないような人間だ。

良くて中年腹、悪くて餓鬼のようなと形容するのが相応しい身体だ。この前BMIを計算したらギリッッッギリ標準体型に収まっていたくらいだ。

そもそも仮に良い身体であったとしても、そうであることと男に触れられて喜ぶことの間に論理的なつながりは何もない。ロジック足りてない。 

 

「嫌です、やめてください」

何事も、はっきりと言明するのが一番である。直感だが、この手合いははっきり拒絶しないとダメだと感じた。社会性が産む曖昧さこそが諸悪の根源だ。ZUNの手を払いのける。

 

スチームサウナに静寂が訪れた。ZUNは押し黙ってしまった。何で私が悪いみたいになっているんだ。

居た堪れなくなり、私はスチームサウナを出た。私は別に悪くないのだが。

 

水風呂で身体を冷やし、浴室に配置された椅子に座って休憩する。

果たしてホモは再び現れることはなかった。ここに居たんですね、の声は二度と聞くことは無かった。私はホモを撃退したのだ。

 

はっきり拒絶すると消えるというのは、何だか日本の妖怪譚に出てくる妖怪のようである。ホモを妖怪扱いするとは、家の前でレインボーなデモをされそうであるが。しかし私は性的ハラスメントの被害者である。セクマイVS#metooで地獄のリベラル大合戦はちょっと見てみたい。

 

まだ始発の時間には少し早かったので、またドライサウナに入る。何が起ころうとも、サウナと水風呂を行き来する異常者の本質は変わることがない。

いつの間にかドカタ系の若者3人がスポーンしており、大声で下品な話をしていた。

 

「俺の弟が親の金盗んでピンサロ行ってさぁ」

「マジヤバいっすねそれ」

 

普段ならサウナで大声で話をされるとイライラするのだが、今回はなぜだか少し安心した。

 

その後、普通にサウナを出て、始発で帰った。

精算の時に店員に事の次第を軽く伝えたら平謝りされた。再発防止に努めるとは言っていたが、難しいだろうなと感じた。

Twitterで事案のことを書いたら、同じサウナで同じ時間帯に、同じようにホモに絡まれた経験があるというフォロワーが現れた。#metooを感じた。

 

・所感

 そもそも深夜にサウナに行くという異常者ムーブをするべきではなかった。

 

しかし、まさか自分がホモに狙われるとは正直思わなかった。顔が良いわけでも身体が良いわけでもないのに、まさか、と。

性犯罪の被害者はだいたい皆こんなことを言ってそうですが。ナンパされる女は大抵手頃なブスだという話もあるし、ハッテンにも案外そういう理論が通じるのかもしれないですね。

別にショックだとか過呼吸を起こしているとかホモフォビアになったとか、そういった後遺症は特にありません。終わってしまえば話のタネです。

同じ体験をするのは流石にもう勘弁ですが。

 

それにしても手の込んだ誘い文句を並べたてられたものだと思う。以下に改めて整理する。

 

・自分はED専門の医者なので、診察させてほしい。

・BL好きな彼女が求めるホモ要素のある3Pに付き合ってほしい。

 

ホモビデオのシナリオに普通にありそうな話である。クリエイティブ・ハッテンとでも言えばよろしいか。

特に後者は「自分には彼女が居る」という前提を置くことで、ノンケであるとの安心感をこちらに与えている。そしてそこからBLという確かに女性には好まれる材料を持ち出し、ホモ行為への道筋をつけるというダイナミックなシナリオである。常人の発想とは思えない。

その創造性には敬意を表したい。人間性に対しては、率直に言って死んでほしい。

貴重なサウナタイムを邪魔しやがって、失せろガバケツ野郎と言ったところである。

 

あとスカイ●パは本当にいいところです。サウナと夜景が好きなら一度は行くべきだと思う。深夜なんかじゃない、まともな時間にね。